「税務署に知られたくない現金の置き場所に困りますね。預金すると証拠が残るので家に置いていたりするのですが、そうすると火災と泥棒が怖い。隠しているカネに火災保険はかけられませんから。
本当に稼いでる人は、言えないカネはダイヤモンドに換えるんです。火事でも焼けないし、軽いからすぐ持ち出せるでしょう。相場もそれほど動かない。1億円を紙幣や金で持っていたら重たいですからね。
香港などで、高級時計など四つくらい形を換えていき、最終的にダイヤモンドにして、ポケットに入れたり指にはめたりして持ち帰るんです。手数料は取られますが、それが一番安全で確実です」
そこまでは笑顔で語っていた河田氏だが、「カネがありすぎると子育てに苦労しないか」と問いかけると真剣な顔になった。
「実はそこが一番キツいところじゃないですか。僕自身も失敗している。どんなに厳しく教育したつもりでも、子供は家にカネがあることを知っている。海外旅行に行くにしても、子供だけエコノミーに乗せるわけにはいかないから」
河田氏は「失敗」について詳細を語りたがらなかったが、わが子が贅沢な「ドラ息子」になることは、大金を稼ぐ人たちの共通の悩みであるようだ。
その証人が「母親塾」代表の桑野裕子氏。口コミのみで全国から子育ての相談を受けている。中でも多いのが引きこもりで、これまで1万件以上の相談を受けたが、ほとんどの家庭が富裕層だった。
「母子家庭や生活保護を受けている家庭に不登校はまずいません。他人から一目置かれるような仕事を持たれていて、所得も上位5%に属するような親御さんが8割以上です。職業でいえば会社の経営者とドクターがほとんどを占めます。
10年とか20年、一度も靴を履いたことがない。そういう子は、遠方にいることになっていたり、留学したことになっているケースが非常に多いですね。
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引きこもりの親たちと10年以上付き合って感じるのは、彼らは形にとてもこだわるんです。目に見える幸せを求め、それを勝ち取る能力はきわめて高いんです。本当は幸せは日常のささやかなところにあると私は思うんですが、そこに価値を置かない人がほとんどでした。
彼らは『おカネで解決できないことに初めて出会った』と言います。『自分たちの人生の汚点だ。だからいなくなってほしい』と言う人も多い。『自分の人生の足を引っ張られた』と言う人もいました」
では、彼らの子供たちはどういう状態なのか。
「2種類いまして、必ず真っ白か緑色の顔をしています。真っ白なのは10年単位で太陽の光を浴びていない子、緑は半年単位でお風呂に入っていない子です。身体にカビが生えているんですね」
年収1億円を超える開業医から相談があった。
「今朝、息子が暴れてパソコンを壊したんです。これから買いに行こうと思うのですが、どんな機種がいいですか」
桑野氏が「ちょっと待ってください、すぐに買ったらまったく意味がない」とたしなめると、「では安いのにしようかな、25万円くらいの」と答えた。
「引きこもりなのに毎月5万円の小遣いを与える。だから、子供はネットで好きなものをいっぱい買っています。部屋がスポーツジムみたいになっていて、他人に会わないのに身体を鍛えている。色は真っ白でも腹筋が割れていたり。
億の収入があれば、子供に最高のものを与えようとします。教育もそう。最高の塾、最高の家庭教師、最高の学歴……。それに反発して引きこもりになった子がほとんどです。
本当は、子供たちはささやかな愛情を求めているんですよ。『お前が生きていてくれるだけでいい』と親に言われた子なんて一人もいない。逆に、『こんな子、もうあなたにあげます』と私が言われたことはよくあります」
彼らは「僕はすべてに成功してきました。だから子育ても成功すると思っていた」と言い、失敗作はいらないと本気で口にする。
桑野氏が言う。
「『友達とご馳走が食べられるから』と喜び勇んで学校に行く母子家庭の子供がいる。本来は引き継いではいけない大金を背負わされた子供のほうが、外から見ると幸せそうでも、よほど苦しいはずなんです」
”ishizue)哀しいね。